虎巖山城(호암산성)
虎巖山城は、ソウル市西南端に位置する衿川区の虎巖山(または衿州山、標高390m)頂上付近にある。統一新羅初期、唐との戦争に備えて築いた山城ではないかと言われている。外周1.25km。朝鮮の古代山城は、山の頂上や谷を城壁で囲んだ、主に篭城を目的とした城である。土塁や石塁で堅固な城壁を築いているが、相当な労力と経済力が伴わなければできなかったろう。当然、明確な目的が無ければ作れないだろうが、その割りに数が多すぎて珍しくないからなのか、何時誰が作ったのか分からなくなっているものが多い。 この城址も発掘調査で出た遺物から統一新羅時代と推定しているだけで、当時の記録があるわけではない。
さて、この山城は肝心の城壁は殆ど失われて、一部崩れた石塁が300mほど残っているとのことで行ってみたが、方向音痴の私には見つけられなかった。残念。しかし城内の石造の貯水池二箇所と、おそらく城を守護する動物(想像上の動物であるヘテともただの犬とも言われている)の石像だけは見ることができた。 「大井戸及び周辺山城址」として国家史跡第343号に指定されている。
山の麓にある虎圧寺は、風水地理説でこの山の山勢を虎に見立てて、その勢いを抑えるために建てた寺との伝説があり、李朝初期の創建と伝わる。李成桂の師である無学大師の伝説も残る寺だ。
薄曇だったが頂上からの景観は最高。登山道はよく整備されていて、近隣住民が気軽にハイキングに来る場所になっている。山頂までゆっくり登って30~40分ほど。虎巖山城の城壁が見つけられず、多くの人に尋ねたが、ここに山城があったことさえ知る人は少なく、こちらから説明させられる始末だった。
2006年10月28日踏査。
虎圧寺の山門が登山口になる。
案内図。右上の方に、虎厳山城が図示されているのだが・・・・。
虎厳山の説明版。
山門をくぐって少し坂道を登ると、虎圧寺がある。
虎圧寺の説明版。
寺の境内から仰ぎ見た虎厳山。韓国は岩山が多い。
樹齢600年のケヤキ。虎圧寺創建のころから生き続ける。
登山途中で麓のアパート群を見下ろす。
冠岳山に連なる連峰を見晴らす。
石狗像。ヘテとも犬とも言われているがどちらにも見えない。
巻いた尻尾が意外な形で、とぼけていて良い。
李朝時代の大井戸。石築が見事である。東西22m, 南北12m, 深さ1.2m。発掘の結果、この下から東西17.8m, 南北13.6m, 深さ2.5mの新羅の石築貯水池が出てきた。
「大井戸及び周辺山城址」国家史跡第343号説明版。
大井戸跡から南に200mのところにある、やはり石築の第二井戸。南北18.5m, 東西10mの長方形。ここから銘文のある青銅の匙が出土しており、それが統一新羅との年代推測の目安になっているようだ。
もう一度石狗像のところに戻り、この近くにある筈の城壁跡を探したが、
急傾斜の林のなかをずいぶん彷徨い歩いても見付からなかった。上掲写真に見える石積に、これか!と思ったが、どう見ても新しい物だった。
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